アプレジャー博士の研究の集大成〜クレニオセイクラルセラピーと免疫反応(CSIR)のZoomクラスを受けて

1月19日まで、クレニオセイクラルセラピーと免疫反応(CSIR:CranioSacral Therapy and the Immune Response)のZoomクラスを受けてきました。このクラスはアプレジャー博士が研究してきた、いわば集大成のようなクラスです。インストラクターのTim Hutton博士はこのクラスの主任で、直接博士から教われたのは貴重な体験でした。

クレニオセイクラルセラピーはクレニオセイクラルリズムという1分間に6〜12回のサイクルで動く自律的な動きを評価として使います。頭蓋オステオパシーのサザーランド博士はこれをショートタイドと言って、それよりも長いサイクルで動くミッドタイドやロングタイドと分けて説明しています。CSIRのクラスでもこの原則は同じで、より小さな免疫細胞にもこのリズムがあるとし、評価として使っていきます。もちろん免疫細胞は通常間質腔には無く、胸腺や脾臓、粘膜などにあって、炎症が起こった時に限ってその部位に現れます。このように免疫系は細胞が散在しているので、リズムは筋肉などの他の系よりも薄い感じになります。もちろん炎症がない場合にはそこには免疫細胞のリズムはありません。

また細胞と会話を交わすことも可能で、組織と融合(melding)し、免疫細胞と「出会う」とその細胞またはシステムと会話をすることも可能です。その際意義探知機(Significant Detector)という、リズムが急に止まる現象が起こるなら、何かその兆候に重要な何かがあるというサインになります。

そうしたアプレジャー博士の評価方法を使い、身体に備わっている「内なる知恵」の仕事を促進することが、クレニオセイクラルセラピーのセラピストの仕事になります。Tim先生は組織に語りかけるために何か言葉を選ぶというよりも、ただそこに寄り添うことが大切だという、ある漫画をクラスの中で示しました。とかく私たちはセラピストとして何か患者さんに「与えよう」と、または「変えてやろう」といろいろ操作をしようとしますが、もしあなたがそうした意図を持ったセラピストに触れられたらどう思いますか?と言われました。すると何か侵害されるような心持ちになって、身体にとって「安全」ではなくなり、治癒が阻害されるような感じになるかもしれません。

また身体は全体がシステムとして動いているので、組織と出会うことができれば身体のどこを触れていても変化を感じられるということがまた新鮮な驚きでした。例えば蝶形骨の病変があるとしても、必ずしも蝶形骨大翼を触れていなければならないということはありません。足を触れて蝶形骨とコンタクトが取れれば、そこから蝶形骨の病変に関わることができるのです。もちろん慣れてくるまではしっかりと大翼に触れて変化を感じる練習が必要かもしれません。クレニオセイクラルセラピーで最初に習う10ステッププロトコルや他の手技もあくまでそれは練習ツールで、アプレジャー博士のメソッドはテクニックよりも、患者さんがどのように変化するのかというプロセスを大事にしていきます。なので身体のどこに触れていても、免疫細胞にコンタクトすることは可能です。

また今回のクラスはZoomなので、自分の脾臓にコンタクトしたくてもなかなかリラックスして触れることはできません。なので身体のどこでもリラックスして触れながら、脾臓にコンタクトを取って、細胞の声を聞いてどう感じどう変化していくかを感じるということをやっていきました。

私は操作系のオステオパシーを長年やってきましたので、どうも何かをやろうとする、あるいはやらなければならないと思ってしまいます。ただアプレジャーメソッドの本質は、クレニオセイクラルリズムを使い、内なる知恵を信頼してそれを促進することにあるように思えます。アプレジャー博士も最初はオステオパスでしたので、10ステッププロトコルなどの操作系のテクニックを中心に開発していったのですが、彼の生化学の研究などを通して次第に操作者から促進者に変わっていったのだと思います。

CSIRのクラスの内容に戻りましょう。組織とコンタクトをとるにはそのシステムがどういったものかを詳細に知ることが大切になってきます。なので免疫システム、マクロファージなどの自然免疫系、T細胞やB細胞などの適応免疫系などをしっかり学び、アプレジャーメソッドを通して体験していきました。最後は自己免疫疾患なども学び、免疫系の全体がよく理解できました。組織がウイルスなどの外部の脅威にさらされると、まずは急性炎症を起こします。これは腫れや浮腫などを起こしますが、身体にとってはある意味正常な反応です。ただそれが収まらず慢性的な炎症に移行すると様々な問題を起こします。怪我などである部位に炎症が起き慢性炎症に移行して既にその存在を忘れていたとしても、再び脅威が襲ってきた場合は身体に深刻なダメージを負う場合があります。私たちはそうしたものを見つけ、コンタクトすることによって、内なる知恵によって身体が治癒に向かうよう助けていきます。

今回のクラスは基礎クラスになっていて、そこから心臓や胸郭、四肢などのクラスがあります。四肢も怪我をしやすい部位であり、炎症もよく起こします。なので四肢の詳細な構造やシステムの学習も必要になってきます。またZoomだとお互いの練習や先生やアシスタントからのフィードバックもありませんので、アメリカ本土ではそうしたことを行うための対面クラスも開催されています。

CSIRのクラス紹介の詳細はこちらから↓

私的にまだどのようにこのメソッドを組み入れていくか試行錯誤が続くかもしれませんが、少しずつ取り入れていって患者さんの助けになるよう、精進していきたいと思っています。またこの旅を大いに楽しもうと思っています。

アプレジャーインスティチュートジャパン 本間

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